辞めたくても辞められない人

昨年の夏ごろだったか、いま勤めている職場をいちど辞めたときがあった。「大変申し訳ないんですが来月いっぱいで辞めさせて頂きたいと思います」と職場を管理している人に話したら、とくにその理由をつっこんで問いただされたりすることなく了承された。
その翌朝、職場に出て作業をしていたら、先の人に「あなたは幸せな人だと思いますよ。辞めたくても辞められない人はいっぱいいるんだから」と言われた。
これは自分の勝手な想像なのだが、その人(60歳を過ぎている)が毎日大変な思いをして会社の管理にあたられているのを傍で見ているし、ほとんど年中休みなく出勤されていてどこで息抜きしているのか不思議なくらいだから、きっとたまには今の全てを放り出してもう家でゆっくりしたいとか、全く違う環境に身を置いて何か別の新しいことにチャレンジしたいとか思うこともあるんじゃないか。でも代わりに今の管理者としての仕事を託せるような人もすぐにはいないし、自分が逃げだせば多くの従業員が路頭に迷うことになるから、どうしたって今の職務を(まだまだしばらくは)果たし続けていかざるを得ないんだろうなぁと思った。
しかし、裏を返せばすぐに仕事を辞められるというのは、しょせんその程度の仕事しかしていないということでもあると思う。誰でも代わりがきくような職責しか負っていないからこそ、わりに簡単に退職できる。そう考えると、どちらが本当に幸せなのかはっきししたことは言えないような気もする。(もっとも自分は、社会的な名誉だとか富だとかいうものよりは、好き勝手に生きられる気楽さの方をどうしたって求めてしまうのだけど。)
SMAPが解散するとかしないとかのニュースを読んでいて、ふとそんなことを思い出した。