転々

三木聡監督の『転々』という映画を観た。とくにひねりのない、ストレートな内容だったと思うけど、物語の中にゆっくりと心地よく感情移入することができて、とても面白い映画だった。いつものことながら、オダギリジョーの「えぇえー?!」というセリフを聞くと、なぜだか これだ! という感じがして嬉しくなってしまう。
一つ前の作品の『図鑑に載ってない虫』を観たときもそうだったけれど、この『転々』という作品の中でも、ここが映画のキモだろうと思われるところで、強い「喪失感」のようなものを感じて、悲しいというか切ないというか何とも言い表しがたい感情で心を揺さぶられた。まあ喪失感というのはけっして嫌いじゃないんだけど、三木聡監督の胸の内というのはどうなんだろう。そういえば『亀は意外と速く泳ぐ』を観たときも、ぴゅ〜と乾いた風が吹いたような喪失感を感じたな。