季刊誌「考える人」

定期的に購読していて、次の発売を楽しみに待つような本(雑誌)が何冊かある。パソコン雑誌では「WEB+DB PRESS」を毎号買っているけれど、その他では「考える人」という季刊誌が僕は好きだ。

この本は独特な雰囲気があって、読む人の気持ちをひととき現実の雑事から切り離し、心を落ち着かせ、ものを考えるうえでの示唆をそっと与えてくれるような空気が感じられる。そしてその空気が一冊を通して、どのページを開いても漂ってくるように僕には思われる。
といっても毎号、半分も読んではいないのだけど、連載ものが面白い。特に、娘の成長と母としての気持ちが綴られた「娘と私」(さげさかのりこ)、都会から離れて暮らし距離感をもって世の中を見つめている「私の暮らし方」(大貫妙子)、短編小説のようでもあり詩的で静寂感漂う「みちくさ絵本」(おーなり由子)は欠かさず読んでいる。12月29日発売の今号は、「偶有性の自然誌」(茂木健一郎)のバブルの話が面白かった。

 人間の脳は、どこまで学んでも完成型のない「オープン・エンド」性を持っている。ゆえに文化を花開かせた。ゆえに文明が発達した。脳の「オープン・エンド」を支えているインフラストラクチャは、脳の中に起こるさまざまな「バブル」である。〇・一秒のひらめきから、何週間か続く「マイ・ブーム」、何年にもわたる恋愛まで、さまざまな「バブル」があってこそ、人間の脳はより深い世界認識への階段を上り続けることができるのだ。
「偶有性の自然誌」第五回『バブル賛歌』 - 「考える人」2009年冬号 P.197

考える人 2009年 02月号 [雑誌]

考える人 2009年 02月号 [雑誌]