バランス

いつも静かな心でいたいと思う。心静かに暮らしたいと思う。以前は、波のない静かな湖面をイメージしていたけれど、それだと小石が投げ込まれただけでボチャンと音がして水鳥がバタバタと飛び立ってしまうので、それは望むところではない。最近は、波の穏やかな海をイメージしていて、これだと大きめな石が投げ込まれてもさざ波でその痕をかき消してしまう。いずれにしても、少々嫌味を言われたり、ちょっとけなされたり、いくらか不本意な反応をされたくらいでは動じない、静かで穏やかで大きな心を持ちたいと思う。
これまでの経験上、たいていどの職場にも一人くらいは、いつも調子が程良い位置で安定している人がいる。「今日はやたらと機嫌がいい」という事もない代わりに、「今日はずいぶん調子悪そうだ」という事もない。たまに風邪気味かなんかでマスクしていることはあっても、体調を崩して欠勤ということがまず無い。毎朝変わらない調子で挨拶を返してくれて、昨日と変わらない調子で淡々と仕事をする。周りの人と適度に会話を交わし、いつも「やや上機嫌」な状態をキープしている。たまに忙しそうにしている時に話しかけても、「いま忙しいから後にして」と冷たく言い返されることはなく、笑顔を見せるくらいの余裕が感じられる対応をしてくれる。当然こういう人はリーダークラスの役割を担っている。
そういう「安定さ」にずいぶん憧れるのだが、自分はまだまだその域には遠いところにいる。ちょっと引っ掻かれただけですぐ不機嫌になったりする。穏やかな海のように、なんでも浮かべて呑み込んで受け入れて消化できるような大きさを持ちたいものだ。