サイドウェイ

iTunes で100円だったので観た。ここのところ毎週、iTunes の「今週の映画」こと100円レンタル映画を観ている。缶コーヒー1本買うより安い値段で観れて、しかもどれを観ようか迷わなくてもいいところが良い。たとえハズレの作品だったとしても、この値段なら後悔が少ない。

こういう大人の映画は久しぶりだ。たまにはこんな落ち着いた感じの映画も観なきゃいかんなぁと思った。出来ることなら、深夜にベッドに横になってビールでも飲みながらテレビの画面で観たかった(今の環境ではムリ)。
主人公は、バツイチで自信喪失気味のダメな男ということになっているが、結婚経験があって、英語(国語)教師で、小説を一本書き上げていて、ワインにはことさら詳しいというのは、僕から言わせれば全然ダメなやつじゃあない。まあ見てくれは決してモテそうな感じじゃないけど、好意を寄せてくれる女性もいるわけだし、二人で一週間の旅行に出かける友人もいるわけだし、他人から羨ましがられる要素をたくさん持っている。そういう手の内にある幸福をもっと大事にして慎ましく暮らしていけばいいのに、などと思いながら観ていた(それで終わってしまっては映画にならないわけだけど)。
それに、小説の出版の話しがなくなったくらいで激しく落ち込んでやけになっているようじゃあ、小説家には向いていない。意中の女性に「Keep writing」と言われたように、ただただ書き続けなければだめだ。などと、文句が言いたくなった。この映画を観ていて、主人公の男に「なんだかなぁ」とか「もっとああすればいいのに」とか、腹が立ってくるというか応援したくなるというか、そんな気持ちになるのはきっと僕だけじゃないと思う。
しかしながら、女性に対して奥手なところはたいへん共感するものがあった。4人でデートして、友人がよろしくやっている間、主人公は相手の女性に気持ちをぶつけることなく横道にそれた会話(ワインの話し)ばかりしているというのは、見ていて悲しいながらも同情するものがあった。SIDEWAYS(サイドウェイ=「寄り道」とか「横道」) というのは、ちょっと地味だけれど、いろんなシーンに当てはまる良いタイトルだと思う。