猫の消滅

11月23日の日記にも書いた子猫が、ふっと消えるようにいなくなってしまった。姿を見かけなくなってから、もう4〜5日たつ。最後に見たのは、たしか出勤前に、農業用のシートの上で体を丸めて寒そうに寝ていた姿で、頭をなでてやったら眠たそうに半目を開けて「ニャー」と一声鳴いた。それから、どこへ行ってしまったのか。可能性としていちばん高いのは、キツネなどの裏山に住む野生動物にやられてしまったということだ。
夜、外のトイレに入って用を足していると、その子猫が寝床からゴソゴソ出てきて、トイレの戸の向こうでニャーニャーとよく鳴いていた。戸を開けて出ると、足元に子猫がちょこんと座っていて、仰ぐように自分を見ている。すぐに抱きかかえて頭や喉を掻いてやると、ゴロゴロいって満足そうに目を細める。腕の中で無抵抗にじっとしている毛がふさふさの物体は、まるでかわいい縫いぐるみのようでもあるが、ちゃんと生き物としての温かみがあり、小さな心臓がトクトクと動いているのが伝わってくる。
そんな愛くるしい子猫が、キツネだか何だかの肉食動物に、その柔らかな腹を喰いちぎられ悶絶している姿を想像すると、けっこうきついものがある。
今も、外のトイレから出たときには、子猫の影が見えるような気がする。その影が本物になることを期待してしまうが、そんなことは起こらないだろう。まあ、車のタイヤに弾かれて無残に潰されたのを見るよりはずっとマシだくらいに思うしか仕様があるまい。